Dr.タナカの豆知識
この9月から、義歯へのマグネットが保険適用になりました!
何本か歯が残ってて,部分入れ歯にされている方や,
残根状態の歯を覆うような総入れ歯を使っておられる方に朗報です。
残根に蓋をするような装置(根面板といいます)
マグネットを併用して入れ歯の吸着に寄与させるという
技法は以前からありましたが,ずっと保険適用外でした。
この「マグネット付きの根面板」を利用することには,
《取り外しの際の,ひっかけの煩わしさが解消される》
《残っている歯牙の手入れが格段に容易になる》
《着脱方向の自由度が増す 》
などといったメリットがあります。
「着脱方向の自由度が増す」という点が,効果が実感できる大きなポイントです。
ひっかけがあると,それぞれのひっかけの方向に着脱の向きが制約されてしまいます。
そのうちの一つを,マグネットに置き換えるだけでも,取り外しが容易になります。
ひっかけで唇を傷つけてしまうというリスクも下がります。
ひっかけが目立たなくなるので,審美的に優れているという点もあります。
これまで訪問診療の現場に於いて
「この方にマグネットが使えたら,ご本人さんはもちろん
お世話をされている方も随分楽になるんだがな..」と思える症例が沢山ありました。
だけど,自由診療(自費)でナン万円もの費用がかさむものを,訪問先の患者さんに
(私の独断で)「メリットがあるから」と,ほいさっさと進めるわけにはいかないです。
家族さんの知らない間に,高額なモノを装着するなんて,騙しているみたいで嫌でしたし
何より,メンテナンス不足でダメになった時,責任の所在がどこなのか,費用がかかる分
シビアになってきそうだったことも,躊躇する要因でした。
それが,この9月から保険適用になったのです。
歯科医師会からの広報で初めて知りました。
やはり,一部負担金のみで治療することができる
というのは,大きいです。
今,診療している訪問での患者さんの中にも,
自信を持ってお勧めしたい方は何人かおられます。
ちなみにマグネットに要する費用は1装置あたり(1割負担の方で)概ね2,000円です。