Dr.タナカの豆知識
雨漏りの修繕は勝手に出来ない?
歯科の訪問先では、歯科の診療をしています(当然!!)
入れ歯の調整をしている時は、患者さんの口の外での作業になりますから、俄然、患者さんとは、いろんな話をします。
以前行った先での出来事・・・。雨漏りするお家でした。
なぜ雨漏りの修繕をしないのかと、患者さんに尋ねたところ
「ここはワシの家なんやけど、名義が兄貴とワシの共有なんや。せやから、『お前は勝手に売られへんど。修理も勝手にしたらアカンど』て言われてんねん。
ホンマは修理したいねんけど、兄貴が業者の見積もりもさせてくれへんねん・・・。」
なんとも気の毒なご夫婦でした。
確かに雨漏りの修理をするぐらいなら、一気に売却してしまったほうがよさそうな一等地でしたので、水面下では、いろんな方への思惑が交錯していたのかも知れません。
では共有名義の建物の場合、
『お前は勝手に売られへんど。修理も勝手にしたらアカンど。』というお兄さんの言葉、法的にはどうなのでしょうか?
これらは共有物についての問題となります。
>『お前は勝手に売られへんねんど。』
実はお兄さんの言い分は正しいです。
民法251条では共有物に「変更を加える」場合は、他の共有者の合意を得なければならないとされています。
「建物の売却」はまさに「変更を加える」ことそのものですので、弟さんはお兄さん(もし他に所有者がいれば全員)の合意を取り付けないといけません。弟さんの一存では売り払うことはできません。
>『修理も勝手にしたらアカンど』
これはお兄さんの言い分は間違っています。
修理は「保存行為」といって共有物の現状を維持する行為にあたります。民法252条では保存行為は各共有者がすることが出来ると定められています。
すなわち、雨漏りの修理は、弟さん一人の意思によってできるわけです。
上記はあくまで一例です。